「介助ガイド検定」を始める 介護福祉士らのNPO法人
体が不自由でも「安心して旅を」
高齢者や障害者の旅行に付き添うときに必要な知識を問う「旅行介助ガイド検定」を、介護福祉士や看護師らがつくるNPO法人が始めた。「車椅子の人に話し掛けるときは目の高さを合わせる」といった知識を身に付けてもらい、体の不自由な人に安心して旅行を楽しんでもらうのが狙い。実際に観光地を回る「現場講座」も好評だ。
平成25年11月24日、東京・上野のアメヤ横丁や浅草を50、60代の男女8人が交互に車椅子に乗りながら観光した。これは、旅行介助ガイド検定と併せて開かれた現場講座。前日の検定を受けた人や、もっと知識を身に付けたいという介助経験者が参加した。
「長い坂道を下りるときは、車椅子を後ろ向きにして介助者がゆっくり後ずさりすると、車椅子に乗っている人は安心」「人の多い観光地では、座高の低い車椅子は周囲から見えにくいので本人も怖い」。参加者は車椅子の人の視点も確認しながら観光地を回った。
検定はNPO法人「ジャパン・トラベルボランティア・ネットワーク(JTVN)」(東京都多摩市)が25年5月に初めて都内で実施した。正誤問題100問と記述式3題で解答時間は1時間。11月に第2回があり、これまで介護施設や旅行業界で働く51人が受検、34人が合格した。
JTVN代表、おそどまさこさん(64)は旅行会社を経営していた経験を生かして約20年前から、1人では移動が難しい高齢者や障害者の旅行を企画。高齢者に介助者を紹介する活動を続け、著書も多数ある。山梨県北杜市の自宅で92歳の母親の介護もする。
「介助する人がいないので外出を諦めている高齢者と、一緒に旅を楽しめる人を増やしたい。将来は古里やお墓参りに同行できる人も育てたい」と、おそどさんは語る。
第1回の検定に合格した東京都在住の介護福祉士、青木千鶴子さん(60)は昨年11月、東京・浅草の現場講座に参加した。人混みで車椅子を押したとき、「できるだけ流れに逆らわず、周囲に声を掛けながら進めばいい」と実感したという。訪問介護の仕事では、近所の買い物など通い慣れた場所に付き添うことがほとんど。「現場講座は初めて行く場所でどう対応すればいいか学ぶことができた」と話している