生活保護受給者の雇用創出 川崎市が「ISFネット」と連携で自立支援サポート

2014年04月07日 14:19

川崎市が生活保護受給者の雇用創出に乗り出した。IT関連企業「アイエスエフ(ISF)ネット」(東京都)と連携し、生活保護受給者を雇用する「ISFネットケア川崎」(川崎市幸区)を2月に設立。既に内定者を含む雇用者は100人を超えており、受給者の自立への一歩をサポートする取り組みとして注目されそうだ。(古川有希)

 「ずっと正社員になりたかったのでうれしい。先行きに不安もあるけど、できる限り挑戦していきたい」

 3月中旬、ISFネットケア川崎でパソコン研修を受けていた川崎区の女性(47)は“新生活”に期待を膨らませる。女性は離婚を機に4年前から生活保護を受給していたが、「保護を抜けたいという気持ちはずっとあった」。そんな中、同社の存在を知り、長女の高校入学に合わせて2月に入社したという。

 ISFネットは平成12年設立。コンピューターネットワークの導入・構築サポートや運用管理支援などを手がける。障害者やシングルマザー、引きこもりなど就職弱者とされる人々を積極的に雇用している。国内外に20のグループ企業があるが、生活保護受給者に特化した会社を設立したのはISFネットケア川崎が初めてのケースとなる。同社は特定派遣の形を取っており、ある派遣先での仕事が終了した後でも雇用は継続される。同社の梶原恒明本部長(38)は、「(一つの)仕事がなくなっても失業することはなくなる」とメリットを強調する。

 7日時点の同社の雇用者は86人、内定者も20人に上る。3カ月~半年程度の試用期間を経て正社員になれば月額16万9千円の給料が支払われる。

 市にとっても、受給者の自立支援は喫緊の課題だ。リーマン・ショック以降、失業を理由とした生活保護受給者が激増。市生活保護・自立支援室によると、市内の受給者約3万2千人のうち、就職を支援しているのは4500人に達した。これらの人たちが安定的な職を得ることで受給費が圧縮され、「財政的効果も大きい」という。

 担当者は「働ける人は働いてもらうのが自立支援の考え方。今回のノウハウを生かして、賛同してもらえる企業を増やしたい」と話している。